nemunemu_usami’s blog

ゲーム、映画、音楽、漫画、小説などについてああだこうだ言う

ファイアーエムブレム風花雪月 61+/100

ゲームデザイン: 17/30(24点から加減点)

日常パートの追加+2 ギャルゲーとしてはまあまあ満足+1 兵種が自由に選択できるようにはなった+2 兵種選択の幅があるようでない-3 鍛冶解禁が遅い-1 魔法不遇剣不遇男不遇-2 キャラと兵種の噛み合いが悪すぎる-4 最上位兵種が必要ない技能まで要求してくる-2
UI, 操作性: 12/30(24点から加減点)

ミニマップが見にくい-1 メニューが見にくい-2 資格試験のタイミングが限定的-2 技能経験値ボーナスが見れない-3 試験パスを買うのが意味ない-1 最上位を"?"にしておく必要がない-3
演出,楽曲等: 15/20(16点から加減点) 

不満はないが目立って良い部分もない
ストーリー: 7/10(8点から加減点)  

ストーリーを楽しむほど熱中できない
キャラクター: 10+/10(8点から加減点)   

誰かしら好きになれるキャラクターはいそう
総合: 61+/100

 

[導入]ファイアーエムブレムの実質的な最新作(後続のエンゲージはお祭り作品なので)。定価は7500円くらいで、セールや引換券を使えば5000円くらい。

FEシリーズについては、GBA封印烈火聖魔と3DS覚醒をクリアしている程度のライト層だが一応経験あり。特徴や勘所はわかっているつもりだったが今作は自分の肌とは合わなかった。

 

良かった点
・ギャルゲーキャラゲーとしては悪くない

自キャラを教師として、士官学校の生徒と過ごしながら訓練や課題という形式で戦闘を行う進行となっている。必然戦闘で役に立ったキャラや日常生活で気に入ったキャラに愛着がわくわけだが、そちらの占める割合が大きく、もはや完全なギャルゲーとなっている(FEシリーズは元からギャルゲーだろと言われれば否定しないが)。それが良くなったか悪くなったかはわからないが、ギャルゲーを求めているならひとつの候補になり得る。

・従来のFEの欠点(?)である「ひたすら戦闘が続く」展開を打破できた

特にGBAシリーズはそうだったが、「章開始→戦闘前会話→戦闘→戦闘後会話→章終了」
という流れが最初から最後までずっと続いていた。それに対して別のアプローチを行えた点については評価したい。一応戦闘のみがしたい人についてはそうすることもできるようになっているので遊び方が限定されているわけではない、

・職業選択が自由になった

従来はキャラの職変更ができず、どれだけ職が競合しようが成長が逆特化しようとその職で使い続けるしかなかった。今作はそれとは違い武器技能等の条件を満たせば誰でも職を自由に変えられる。武器技能は戦闘以外でも日常パートで上昇させることができるので、形式的には魔法職から斧使いなどに転向させてから戦闘に出すことが可能になっている。思い切った変更であり評価したい。

 

良くなかった点

正直なところかなり多い。無理して上のように褒めたが、UIやゲームデザインの悪い部分がかなりストレスになり魅力を帳消しにしている。

・昨今のゲームにしてはUIがすこぶる悪い

メニュー画面やステータス画面が非常に見づらい。特にステータス画面がひどく、自キャラの武器技能確認が名簿からしか見ることができず、また職技能の進行度確認は戦闘以外では数値で確認できない。どの職にどの技能が必要になるのかも毎回職選択画面からでないと確認できず、画面の移動が多く面倒。加えて職を変える際に"資格試験"というものを受けて合格する必要があるのだが、それを受ける際に試験パスというアイテムを消費する。資格試験は一日の始まりにしか選択できず、やり忘れたりすると次の自由活動日にしか行えない。また、試験パスは道具屋で売っている(しかも個数有限!)が持っている分が無くなったら「資格試験→メニュー画面→ショップ→道具屋→試験パス購入→メニュー画面→資格試験」と遷移する必要があり、あまりにもデザインがひどすぎる。こんなものはなくなったら試験の画面でも「購入して試験を受けますか?」と表示させてその場で購入できればいいし、もっと言えば購入するのでなく試験を受けるときに金を払えばいいだけなのに全く洗練されていない。これ以外にも細かい部分での不満は多いが、昨今のゲームにしては珍しいバッドデザイン。
・シミュレーション要素が減ってランダム要素が増えている

従来も成長率、必殺率、命中率、確率発生のスキル等はあったが、今作は全員が"紋章"というキャラ固有の確率発生スキルを持っている上、日常パートでも確率で教育時にBad, Good, Great, Perfectとなり得られるポイントに差が発生したりする。場合によっては思ったように伸びなくなり計画に支障が生じる。

戦闘シミュレーションが好きな自分にとっては、この手のゲームで楽しい瞬間は「最大効率で敵を排除し、自分の想定通りに事が進んだ時」なのであって、たとえ自分が有利になる場合でもあまりランダムな現象が起きてほしくはない。しかし今作は特にランダムになるように思えるので、それによって戦闘をドラマチックに演出させてキャラクターへの愛着を沸かせようというデザインなのだと思う。自分には合わなかった。

・技能や要素を増やし過ぎていてリソースが足りない

この手のゲームは資金、時間、施設、武器などリソースに乏しい序盤が最も難しいとよく言われるが、本作もその例外ではない。教育による効果をもっと大きくし、選択した技能だけが上がるのではなく全部がいくらか上昇し、選択した技能は特に上昇するように変えたりしないと色々な職を試すことなんてできないだろう。

・職選択の自由が実質機能していない上、取りたくもない技能を取らされる

上述したように職選択が自由になっているが、それは形式的であり実質は得意な技能を伸ばすか最終的にどの職になりたいのかを序盤に決めてから育成しなければよくわからないステータスになってしまう。

また、女性魔法職は理学と信仰(攻撃魔法と回復魔法)を共にAにすることで魔法特化職になれるが、男性魔法職はその枠すら与えられていない。男性は物理職(斧と格闘術)に特化したものがあるが、格闘術が得意なものは少ない上に男性魔法職は多いため、極めて不遇。

加えて、例えば剣に特化したキャラがいても最上位職で剣を活かすには理学を上げる必要があり、必要ないのに技能を上げる不毛な時間が発生する(一応最上位の一つ下に剣Aのみでなれる職があるが、じゃあ上位/最上位とか区別するなという話)。

職にも職技能が設定されているので最大まで経験点を貯めるとかなり強いスキルが得られるが、戦闘でしか経験点が得られない。無論必要最低限の戦闘では獲得できないため、効率の良いプレイングとしては敵を動けないようにし、味方の反撃が発生しないようにしつつひたすら戦闘のみ続けるのが一番となる。こんなデザインが正しいわけないだろ。

 

総評

ゲームデザイン/UIデザインがひどすぎてクリアまで遊ぶ気も湧いてこないのは久々なので自分でも驚いている。実際不毛な時間が多くてこんな評価になるのもやむなしかと感じる。

戦闘シミュレーションを求めているなら値段と釣り合わないが、キャラゲーギャルゲーを求めているなら妥当か(ただしそれならそれでグラフィックが厳しいが)。

FEは戦闘シミュレーションからもう撤退したくて、キャラゲーに舵を取りたいのだがコア層にそっぽ向かれるのも怖いのでどっちも中途半端になっている部分がある。少なくとも、数年発売を遅らせてでももっとデザインを洗練させないといけなかった。

キャラ育成については初対面で才能と今後どう運用していくか決めて指導を行う必要があり、それはつまり職業選択の自由など建前でしかないことを意味している。途中で変更もほぼできない。それなら従来通り決まった職で登場させればよかったのではないかなと感じる。

総合して、とにかく残念。